世界の終わりに隣に君がいてくれたらそれだけでいい…
「俺・・・、学校辞めちゃって、母親とケンカばっかで毎日生きてるのが嫌になっちゃってて、あなたにこんな事言うのも変ですけど、今、一番安心するってゆうか、楽しいってゆうか、それってあなたといる時間なんですよね・・・。

 俺んち、母子家庭で父親は2年前に女作って出てったんです。

 母親に彼氏がいて、そいつが泊まりに来るんス。

 俺はあいつが嫌いで・・・。

 けど母親はあいつと平気でイチャつきまくりなんで、なんか居場所がないってゆうか・・・。

 母親がエッチしてる声とか、裸で抱き合ったまま寝てるのとか見ちゃったりしてなんかグロくてキモくて、俺んちアパートでめちゃ部屋とか狭いんで丸聞こえだし・・・。」

 彼はいきなり自分の事情を話し出す。

 私は彼の横顔が寂しそうに見えて、なんて言ったらいいのかわからなくなる。

 けど・・・、やっぱりまだ子供だなって 母親の彼氏の存在が嫌だなんてカワイイなあ・・・って思う。

 彼にしてみたら深刻な悩みなんだろうけど・・・。

 私はこう答えた。

「そっかあ・・・・。

 それぞれの事情があるから何とも言えないけど、 あなたの気持ちがちょっとでも楽になる事が一番なんだと思うから、自分の好きな事とか楽しい事とかを見つけたらいいんじゃないかなって私は思う・・・。

 国道を過ぎると防波堤につながる道に出た。

 痛い位に青い空を気持ちよさそうに鳥が飛んでいた。

 防波堤から覗き混むと水平線に白い船か浮かんでて、ゆっくりとした時間の流れに心地よささえ感じた。

「もうすぐです!

この先をずっと行ったら、

ほら!

灯台が見えますよね?

あの向こう側に綺麗な石浜があるんですよね!」

 嬉しそうに私を見るの笑顔にどきっとした。

 気が付くと私はかなりの距離を歩いてない?

 いつもは公園の敷地しか歩く事のない私・・・。

 そうなんだ・・・、私はこの少年のおかげでこうして歩く事が出来たんだ・・・。

 灯台がすぐ目の前まで近づくと、その向こう側に向かって彼が走り出した。

「待って・・・。」

 私は必死で追いかけた。

 そしてそこには・・・、見たこともない綺麗な景色が広がっていた。

 エメラルドグリーンの海にキラキラ光る大陽の日差し・・・。

 透き通る海の水。

 泳ぐ魚の群れ。

 白い石・・・。
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