世界の終わりに隣に君がいてくれたらそれだけでいい…
第5話 ウイッシュ
 それからの私は・・・、毎日がちょっとだけ潤ったような、そんな感じがしていた。

 朝、起きて深呼吸して・・・、

 朝食の準備をする。

 祖母と食事を済ませてから掃除をし、それから読書したり音楽を聞いたりする。

 それからは・・・

 少しうとうとして・・・

 眠ってしまったりもある。

 縁側で木々の匂いを思いきり吸い込むと吐く息までもがクリーンになってくような気がしてならない。

 何もかもが心地いい・・・。

 人間なんて単純なものかもしれない・・・。

 私はいい年して、あんなに若い男の子に恋をしてしまった・・・。

 そして今の私にとって、あの子が私のすべてになろうとしてた・・・。

 不思議と言えば不思議。

 短絡的と言えば短絡的。

 この間まで生きてる事に疑問を持ち、死のうとしてた私が・・・。

 自分でも笑っちゃうほどに単純だと思った。

「こんにちはー。」

 レイだ。

 レイは息を弾ませ、私のそばに駆け寄ってきた。

 若い男の子には言葉に現せないエネルギーみたいなものがある。

 近寄られると眩しすぎて、つい目を伏せたくなるようなエネルギー・・・。

「今日、あなたに見せたいものがあって持ってきましたっ。」

 レイはカバンの中からノートを取り出
すと、それを私に見せた。

 それはかなりアートなイラストだった。

 何ページにも渡ってギッシリと描かれたイラストはとても上手だ。

「へーこれ、レイが描いたの?」

 私はレイの方を見る。

「そうっすよ。

 俺が描いたんです。

 俺、絵とか書くの凄く好きで夜中でも夢中に描いたりして、気がついたら外が明るくなってるなんて事よくあるんすよねー。」

「ニャーー。」

 クラウディオ(猫)が部屋から出てきた。

 レイを見つけると、クラウディオはレイの膝に飛び乗った。

「凄いね。

 上手だね・・・。

 絵の勉強とかして絵を描く仕事とか将来やったらいいのに・・・。」

 私は一人で興奮してた。

 クラウディオの背中を優しく撫でる彼は目を細めてる。

 クラウディオは彼が大好きなんだ・・・。
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