そうだ、異世界へ行こう
どうやらさっきの二人が消えたのを私たち以外の人も見ていたらしく
辺りは騒然としていた
『消えた!?』
『まさか!転移魔法が使えるなんて並みの魔導師じゃ…』
『じゃああれは…』
「…ねぇ、刹那」
『あ?なんだ?』
周りの騒ぎとは逆方向へ私の手を引っ張っていく刹那に
私はある種の直感を口に出した
「この世界でも人が急に消えるのって普通じゃないの?」
『ああ、簡単そうに見えてかなり難しい魔法だ
何しろ生きたままの人間を移動させるんだからな
普通の奴は無理だ』
「じゃああの人たちは…」
そこまで言って
ふいに刹那に説明してもらったことを思い出した
《その属性によって髪の色が違うのだとか》
《それを説明するのに一番手っ取り早いのが
この辺りで一番大きなカトレア帝国の4王子ってのらしくて
長男が赤、次男が青、三男が黒、四男が金らしい》
「刹那…まさかとは思うけど
今日会った人たちって王子様とか…そんなわけ」
『ああ、王子じゃねえよ』
ほっ、良かった
『だってイオンは宰相で海軍の指揮取ってるし
ジンラはこのアクレインの王だしな
“もう”王子じゃねえな』
私の中の常識が音を立てて吹っ飛んだような気がした
「あの海賊船みたいなの軍隊の船なの!?」
『ああ、わざと海賊船に化けてんだよな
情報収集に便利だからって理由で』
「カトレア帝国じゃないけど…ここ」
『だから、ジンラは婿養子だっつーの
さっきからそんな話してたじゃねーか』