そうだ、異世界へ行こう
『んー、まぁ、見るからにこの船特殊でしょ?
俺らが会うのはその船長だからね
普通の人間は会わせらんねぇんだよ
さっきのがイオンを呼んで、こちらがどんな人間かを示す合言葉のようなもんだ』
「うんと…つまり呼ぶための手順を踏んだってことね」
こっちの世界って何かと不便なのかなぁ
あっちだと電話一本でなんとかなったりしない?
そうやって話していたら中から一人の人間が出てきた
『セツ、久々だなぁ
相変わらず対して変わんねぇな』
『よう、イオン
そっちこそまだ生きてたのかよ』
…えっと
こ、この若くて美形なお兄さんが“総帥”なんていかつい称号を持ってるのでしょうか?
目の前に居るのは、青と水色の中間ぐらいの色の髪を一つに縛り
瞳は金色
頬に目で分かる程度の刀傷がある細マッチョなお兄さんだ
年はいいとこ25歳って辺りだろう
服装は一言で言うと、ジャラジャラしてる
重ね着したシャツの上に薄いベストを羽織り
腰には2本のベルトとリボルバー
胸には革紐で鍵や格好いいデザインの紋章のようなものが下がっている
この人、本当に偉い人?
私が頭の中でそんなことを考えているうちに
二人の話は私を置いて盛り上がる
『この船が沈まない限り俺は生きてるっつーの』
『そうか?俺より爺さんだからもうくたばってるかと思ったけど』
『どうせ時間の感覚違うっつっても5つも離れてねぇだろ、そっちの奥さん?』
『両方大体当たり、今日グレースさんは?』
『いるよ?呼ぼうか?』
『ああ、こいつに会わせてやろうと思って』
『ジンラのとこには行ったか?』
『まだだけど?』
そこで私に話が振られた
『穂波、行くけどいいか?』
「うぇっ!?ど、どこに?」
『あの船の中、置いていかれたいんだったら良いけど』
「こんな土地勘無いところに置いていかれたら泣くよ、大声で」
その会話を聞かれたらしく、イオンさんにプッと笑われた
だからとりあえず刹那を睨んでおいた