花咲く原石
それは心からの感謝の言葉。

シイラの気持ちはリトに伝わり、それは彼の微笑みでシイラにも分かった。

「それはこっちの台詞だ。」

手摺を乗り越え、リトはやっとシイラと同じ場所に降り立った。

なんて身軽なんだろう。

シイラに比べ、頭一つ分ほど大きいリトを見上げる。

「ドワーフに会えるなんて思ってもみなかった。仲間に会えたみたいで嬉しい。俺はこの出会いに感謝してるよ。」

リトの言葉にダイドンの姿を思い出す。

別れ際に彼もそう言っていた。

そしてこれからのシイラの未来に向けても希望を持っていた。

出会いが生きる道を色濃く織り成していくものだと、旅の中に或いは先にシイラを彩る出会いがあるとダイドンは残している。

ダイドンと同じ様なことを口にしたリト、はにかむような表情に彼の心からの言葉なんだとシイラは思った。

「さっきも言ってたね。仲間って。」

「ああ。もうこの世は人の力が強すぎて俺達のような血を持つ者はそんな多くはいない。この身体に流れる血を生きる事で守っていく、それは種を超えて仲間になるんだと俺は思っているから。」



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