花咲く原石
リトの言葉は新鮮で、そして深くも重くもあって。

シイラの胸の中にストンと降りてきた。

「リトー!?」

「おう!」

下からリトを呼ぶ声がする。

手を掲げてそれに答えると無邪気な笑顔を見せた。

「シイラ、せっかくだから参加してくか?今夜は久しぶりの満月祭なんだ。」

「満月祭?」

そう言ってシイラは空を見上げた。

本当だ、リトの言うように大きな満月が空に浮かんでいる。

「うわ…綺麗。」

「な?こんな力がある月明かりは浴びなきゃ損だろ。」

何故か得意気にリトは階段の方へと歩き始めた。

まだ立ち止まったままのシイラに手を差し出して不適な笑みを浮かべる。

「歓迎しますよ、お嬢さん?」

リトの見せた大人の雰囲気になんとなく恥ずかしくなってシイラは顔を真っ赤にして目を泳がせた。

しかしリトは変わらぬままに手を差し伸べている。



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