花咲く原石
「ただ酒を飲んでるように見えるだろ。」

「うん。」

「だよな。それが夜を楽しむことらしい。楽しく夜を過ごすと言った方がいいかな?」

よく分からなかったのかシイラは瞬きを重ねた。

「本当かどうかは知らないぞ?ただの酒飲みの言い訳かもしれない。」

「ふうん?」

不思議そうに首を傾げるシイラにリトは信憑性が低いことをすかさず伝えた。

リト自体も半信半疑なのだろう。

現にここにいる仲間の何人が本当の話を知っているかと考えたら首を傾げるしかない。

何か他の理由があったのにただいつの間にか酒飲みの楽しみになった可能性が高いだけだ。

「でも、息抜きや楽しみって意味ではそれをなしてる祭だな。」

苦笑いをしながら酒を口に含んで月を見上げる。

確かに月を愛でながら飲む酒の味はまた格別だ。

「それに月に…特に満月に力があるっていうのはなんとなく分かる気がする。」

そっと目を閉じてリトは月の光を浴びた。



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