花咲く原石

05.約束

「そういや、連れはいいのか？」

ずっと感じてはいたが、リトはタイミングをみて疑問を口にした。

対面時にあれだけ敵意をむき出しにしていたオーハルが今の状況を面白く思う筈がない。

彼は退席するまで固い表情と警戒心を崩さなかったのだ。

「うん、オーハルが行っておいでって。」

「はっ！？」

「明日に支障のでない程度で楽しむなら構わないでしょうって。」

嬉しそうに話すシイラの口振りはまさにオーハルが言いそうな言葉だった。

どうやら本当らしい。

「あのお兄さんがねぇ…あの人はシイラの旦那？」

「へっ？違うよ？オーハルはダイドンのお弟子さんなんだ。」

ダイドン、一瞬誰のことか考えて視線が宙をさ迷ったがすぐにシイラの父の名前だと思い出しリトは納得した。

「でももうずっと一緒にいるから家族みたいなものだね。」

幸せそうに自分のことを教えてくれる。

そんなシイラの姿を見て、彼女が今までどれくらい幸せに過ごしていたかを教えられた気がした。



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