花咲く原石
「ありがとう、自信になるよ。」

そう言って交わすだけでシイラは微笑んだ。

「こりゃ手強い。」

リトの降参発言に2人の間に和やかな空気が流れる。

シイラにとって不思議な時間だった。

どこかダイドンに似た空気を持つリト。

彼に心を許しているのは間違いない。

それに人ではないからか、どこか懐かしく、落ち着く自分がいるのだ。

「旅の途中なら体力が必要だろ?これ腹持ちするから持ってけよ。」

そう言ってリトは近くを歩いていた仲間にそれを手渡して包むように頼んだ。

味の話をしている間に包まれた食べ物がリトの手元に戻ってくる。

「リト、ナンパ中?」

「いまフラれたばっかだよ。」

「それはそれは。」

にやにやとからかいながら仲間は去っていった。

仲が良さそうな雰囲気にシイラも自然と笑顔になる。

「リトはここに来て長いの?」



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