花咲く原石
リトは軽く指を向けて、シイラの顔をあげさせた。

髪に隠れて分かりにくいが、シイラの耳には微かに揺れるひし形のようなピアスがある。

深紅の石が確かな輝きを放っていた。

「うん、初めて造ったピアスなんだ。」

照れくさそうに、それでも誇らしげな気持ちでシイラは答えた。

嬉しくて髪を耳にかける。

ハッキリと目にした瞬間、リトから感嘆のため息がもれた。

初めてという割には上手く出来ているように見える。

「それで初めて?そりゃ凄いな!さすがはドワーフだ!」

純粋にその技術に感動してリトは笑った。

確実にシイラの中にはドワーフの血が流れていて、その知識も技術も与えている。

まさにこの世の奇蹟だとリトは納得して笑った。

奇蹟なんて、そんな特別な言葉を自分とダイドンにあててくれるなんて。

当たり前のことだと思っていたものを、そうじゃない、尊いものだと言ってくれた。

それが嬉しくて、リトの笑い声が心地よくて、自然とシイラも笑顔になる。



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