花咲く原石
歩き始めて口頭にオーハルは結論を告げた。

だいたいの予想はついていたが、改めて口にされるとやはり驚きを隠せない。

シイラの中で余計な思考が始まる前にオーハルは次を声にした。

「そして高炉も目的ではありません。ある一定の期間を過ぎると貴石の輝きが失われるというのも作り話です。」

「えっ?!」

予想だにしていない告白にシイラはつい足を止めてしまった。

彼の話の通りならこの旅は意味を失ってしまう。

疑問が浮かび上がるよりも頭は困惑の方に支配されてしまったようだ。

明らかに動揺しているシイラとは別で、オーハルはどこまでも冷静だった。

背後に感じるシイラの停止サインに釘を刺す。

「シイラ、約束ですよ。ちゃんと歩いてください。」

「えっ…?あ、うん。」

約束、その言葉に反応してシイラは歩き始めた。

しかし戸惑いからか速度は格段と衰えている。

心拍数だって上がってる気がする。



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