花咲く原石
でも府に落ちなさすぎて、このまま進みたくなかった。

隠し通したままオーハルが進む理由も知りたい。

でもそれを話そうとする気配はまるでない。

何か必死になっているように強すぎる緊迫感を彼から感じていた。

何がオーハルにそこまでさせるのだろう。

ダイドンとオーハルの最後に交わした言葉を思い出しても、2人が意思疏通していることは分かった。

きっとダイドンの意思も彼の中にある。

聞こう。

聞きたいのだ。

しかしシイラが口を開く前にオーハルが動いてしまった。

「シイラ、止まって下さい。」

この茂みを抜ければ壁にぶつかる、そんな場所まで辿り着いてオーハルはシイラを止めた。

戸惑うシイラを他所に、その場に屈んで茂みから向こう側の様子を伺う。

「屈んで。」

どうしたのとシイラが口を開く寸前にオーハルからの指示が入った。

緊迫した空気と急かすような手の仕草に慌てて身を縮める。



< 144 / 200 >

この作品をシェア

pagetop