花咲く原石
一体何だというのだ。

困惑しすぎてシイラは不安になってきた。

堂々と行けない場所なのか、立場なのか、全てによくない考えが絡み始める。

茂みと壁の間には広い空間があった。

整備はされていないが草も生えていない土がむき出しになった空間。

馬車も通れそうな程の幅があるから、道というものに近いのかもしれない。

シイラは目の前にそびえ立つ壁を見上げた。

かなりの高さを持つこの白い壁が中央区との境界線。

白い壁の世界はやはり太陽の光を浴びて輝かしく見える。

ほんの少しだけの距離なのに、森の中は光が閉ざされまるで夜のようだ。

だから余計に眩しく感じるのかもしれない。

いや、壁があまりにも眩しすぎて森の中が暗く感じてしまうだけだろう。

それにしても空気が殺伐としている。

境界線にあたるこの場所はなんだか物々しい、どこか特別な雰囲気がそこにはあった。

オーハルから伝わってくる緊迫だけではない気がする。



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