花咲く原石
少し冷静になれば分かることなのに、そこまで頭が回らなかった自分に驚いてしまう。

「大丈夫、後は私たちに任せてください。今は応急措置ですが、ちゃんと医師の所へ案内しますから。」

オーハルの肩を手当している男性が力強い声で訴えた。

「連絡は入れてあるな?」

「勿論。」

リトの問いにも力強く答えると、彼は余裕の笑みを浮かべた。

この関係、やはりリトの方が上にいると見て間違いない。

昨夜も思ったが、改めてリトが何者なのか気になってしまった。

そしてリトに従う彼らのような人たちが集まるこの集団は何なのかも。

どうせ一夜限りの関わりと思い深く考えないようにしていたが、こうなるとそうもいかない。

はっきりと正体が知りたい。

「貴殿方は一体…?」

近衛団にいた頃に得た様々な情報を掘り起こしても、彼らが誰かという候補が見付からなかった。

オーハルは答えを求めてリトの目の奥を探るように見つめる。

リトは逃げることなくその目を受け入れ微笑んだ。



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