花咲く原石
「山道には慣れてるつもりだったけど、やっぱりそうもいかないね。」

「所変われば地盤の質も何もかも異なります。慎重に進みましょう。」

オーハルの言葉にシイラは頷いた。

この辺りに人が作ったような道というものは無い。

草や木を分けて足場の悪い山道を気を付けながら歩いていくしかなかった。

元々あんな深い森の中に暮らしていた訳だから山道には慣れている。

でもひたすらに歩き続ける事などそうある事ではないので、そういった意味でも油断はできなかった。

怪我をしないように、慎重かつ迅速に足を進めていく。

旅はまだ始まったばかりなのだから。

「ここを登りましょうか。」

オーハルが小さな崖になっている場所を叩いてシイラに指示をした。

オーハルの背丈よりもかなり高いが圧倒されるようなものではない。

行ける、直感でそう思った。

「行けますか?」

「大丈夫。これ置いてくね。」



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