花咲く原石
「…ダイドン。」

求めるように両手で受け取り、その重みも一緒にしっかりと抱きしめた。

繋ぐと約束した大切な宝物。

リトは見付けてくれていたのだ。

「リト、ありがとう。」

その気持ちが嬉しくてシイラから笑みがこぼれた。

リトは微笑むだけで何も口にしてはくれない。

ただ、そのはにかむような優しい笑顔に嬉しさが倍増するような気持ちになった。

そんな奇妙な感情に照れながらもシイラはダイドンの荷物をさらに力強く抱きしめる。

「リト…貴殿方はどうしてここに?」

さっき貰えなかった答えを置いて、違う形でオーハルから疑問符が投げかけられた。

もう彼の手当ても終わったようだ。

伯爵領からの兵団も大人しく拘束され、事態は一段落したらしい。

リトもその仲間たちも優しい表情で微笑み、オーハルとシイラを見つめた。

「2人を中央区に案内する為、かな。」



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