花咲く原石
この出会いは自分の中で大きな意味を持つ、そう感じて残した未来へ繋げる手紙。

その未来が今だとしたら、確かにシイラが導いたものだった。

「出会うだけじゃ繋がらない。繋がりたいという気持ちがないと、その出会いの意味が消えてしまうことだってある、だろ?」

あの時、あのまま部屋から出ずに朝を迎えていたらこうはならなかった。

水を汲むだけだとこうはならなかった。

リトの誘いを断っていたら、決してこうはならなかった。

「全部シイラが選んだ未来だ。」

オーハルの反対を蹴ってリトと関わることを選んだ時から、今いる未来が描かれていたことになる。

「でも、オーハルのおかげだから。」

穏やかな表情、シイラのその目に触れてオーハルの中で込み上げるものがあった。

そんな言葉を貰えるようなことはしていない。

その気持ちからオーハルは首を何度も横に振った。

「それは違います。」

震えながらも確かに綴られた言葉にシイラもリトも耳を傾けた。



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