花咲く原石
「オーハル…。」
オーハルは戦っていたのだ。
ずっとずっと、誰にも告げずに戦っていたのだと安易に周囲に思わせた。
それほどまでに彼の今の姿が過去を物語っているのだ。
「脱走捕虜…しかし誘拐されたと言ってましたね。捕獲も貴方が?」
シイラよりも先に真実に向けてリトが斬り込んだ。
オーハルは首を横に振り口を開く。
「私が公爵領に配属された時には既に囲われていました。近衛団本隊にいた時から黒い噂を聞いていた場所でしたので…それなりの覚悟はしていたのですが。」
「近衛団?」
シイラの反復にオーハルは俯いていた顔を上げて彼女と視線を合わせた。
「私は王国の近衛団に所属している兵士なんです。貴女が今まで居たのは王国の貴族である公爵殿の領地、私は公爵領に配属されて貴方たち親子と出会いました。」
「監視役として、ですか。」
リトの言葉にオーハルは頷く。
幼い頃から父ダイドンの弟子だと信じて接してきたオーハル。
オーハルは戦っていたのだ。
ずっとずっと、誰にも告げずに戦っていたのだと安易に周囲に思わせた。
それほどまでに彼の今の姿が過去を物語っているのだ。
「脱走捕虜…しかし誘拐されたと言ってましたね。捕獲も貴方が?」
シイラよりも先に真実に向けてリトが斬り込んだ。
オーハルは首を横に振り口を開く。
「私が公爵領に配属された時には既に囲われていました。近衛団本隊にいた時から黒い噂を聞いていた場所でしたので…それなりの覚悟はしていたのですが。」
「近衛団?」
シイラの反復にオーハルは俯いていた顔を上げて彼女と視線を合わせた。
「私は王国の近衛団に所属している兵士なんです。貴女が今まで居たのは王国の貴族である公爵殿の領地、私は公爵領に配属されて貴方たち親子と出会いました。」
「監視役として、ですか。」
リトの言葉にオーハルは頷く。
幼い頃から父ダイドンの弟子だと信じて接してきたオーハル。