花咲く原石
だからダイドンも捕虜にされてしまった。

そう口にしなくてもオーハルの考えはシイラには伝わったようだ。

シイラは相づちを打つように小さく頷いている。

「貴女のような自分の仲間を知らない精霊もたくさん保護されているのだとダイドンは言っていました。中央区はそうした者の集まりだと。」

オーハルの言葉にリトは頷く。

「俺なんかもそうだ。他にも色んな種族がこの壁の向こうには暮らしている。」

リトは親指で白い壁を指すと、その向こうを眺めるように壁のてっぺんを見上げた。

青い空が白い壁を映えさせている。

「俺たちは中の住人を守る為と、逃げ込んでくる仲間を保護する為に外を巡回してるんだ。」

リトの言葉に初めて彼らの立場を理解することが出来た。

あの森の中で出会ったことも、アジトのある意味も。

大切にしていきたいと言ったリトの気持ちもなんとなく繋がった気がする。

「じゃあ、皆さんは…。」

「リトと同じ、騎士団に所属する者です。」



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