花咲く原石
オーハルの問いに答えてくれたのはキアヌだった。

どこか洗練された空気があるのは然るべきところで訓練を受けたからなのだ。

オーハルの中でアジトの住人たちの持っていた空気の謎が解けていく。

どこか自分と似たような雰囲気に気付いていたからこそ余計に彼らを警戒してしまったのだ。

「ダイドンは門に辿り着くか、騎士団に駆け込めば保護してもらえるだろうと言っていました。」

だからさっき辿り着けていたのかと呟いたのか、シイラは胸の内でオーハルの言葉を噛みしめる。

「門はあそこです。」

キアヌが手を伸ばして門のある方向を示した。

緑の旗が、確かにそこにある。

オーハルは何も言わずシイラに視線を向けた。

それはリトも同じ。

シイラが何を思っているのかは分からないが、彼女の視線はまっすぐと緑の旗が揺れる門の入り口に向けられている。

ある程度の情報を得られた今、彼女は今の自分の立ち位置を理解しただろう。

そして気持ちの整理もついたに違いない。



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