花咲く原石
「ううん。大丈夫。」

まだそれほど疲れは感じていない。

シイラは軽やかに立ち上がると先へ進もうとするオーハルの所へ近付いた。

「まだまだ先は長いです。行きましょう。」

「うん。」

シイラの力ある返事にオーハルは微笑んで歩き始めた。

相変わらず足場の悪い、獣でも足をとられそうな、道とは言えない道を進んでいく。

「気を付けて下さいね。」

「うん。」

初めは何度か交わした言葉だったが、次第に口数も減っていく。

それくらいにお互いが足下に集中していた。

踏ん張ることで疲労が貯まることも多い。

比較的にマシな道でたまに目に入る見慣れない花に興味を持つが、立ち止まることは出来ずに通り過ぎていった。

この辺りは家からも随分と離れている。

見たことも感じたこともない雰囲気が新鮮に思えて幾分か疲労を和らげてくれていた。



でも、それも長くは保たない。



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