花咲く原石
湖とは比べ物にならない大きな“水溜まり”、想像してもよく分からなかった。

それでもダイドンが素晴らしいものだと言っていたから期待が高まる。

青い、まるで宝石のような景色だと。

「ねえ、オーハル。東の区域にはあとどれくらいで着きそうなの?」

作業を一通り済まして傍に座ったのを確認してからシイラは尋ねた。

「そうですね…5日位だと思います。」

「5日ね。」

「嫌になりましたか?」

「ううん、海が見れる日までのカウントダウンかな。」

最初は意味が分からず瞬きを重ねていたが、よくやく理解したオーハルは吹き出して笑いだした。

彼が笑う理由が分からないシイラは少し焦って肩を竦めてしまう。

「そうですね、貴女はそういう人でした。東地方の中でも有名な海岸があるそうですから、そこへ行ってみましょうか。」

美味しい名物料理もあるそうですよと、オーハルは自分のパンに口を付ける。

何故かからかわれたような気持ちになってシイラは頬を膨らませた。



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