花咲く原石
心臓が鳴りっぱなしのシイラを他所にオーハルは作ったばかりの寝床に彼女を乗せた。

「あ、ありがとう…。」

たどたどしい言葉に泳いだ視線は明らかに動揺していることを示している。

「何もしませんよ、お姫様。安心して下さい。」

吹き出しながら腕を離していくオーハルにまたシイラは顔を赤くした。

「ここで手を出せば明日に支障が出ます。」

「オ…オーハル！」

「冗談ですよ。貴女は大切な存在です、さっきも言いましたがお姫様ですから。」

からかうように笑うオーハルにシイラは何も言えず睨むだけだった。

「ゆっくり休んで下さい。」

あやすようにシイラの頭を数回撫でた。

いつもそうだ、ダイドンと２人して楽しそうにからかうから意地が悪い。

シイラが横になったのを確認するとまた下に降りて作業を始めた。

「オーハルは休まないの？」

「休みますよ。先に寝てください。」

声だけでなく、ちゃんと目を合わせるあたりがオーハルらしい。


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