花咲く原石
オーハルは優しい。

いくら師の娘とはいえ、ここまで面倒を見てくれるなんて。

感謝を越えて申し訳なかった。

今もまだ下で作業する音が聞こえている。

ダイドンも深い信頼を寄せていたオーハル、オーハルもまたダイドンを強く慕ってくれているように見えた。


だからこそ言ってくれたのだろう。


“私がシイラを連れていきます。必ず、この命に代えても成し遂げます。”


ダイドンに貴石で装飾を作って欲しいと打ち明けられたあの時、戸惑うシイラを支えるように自ら志願してくれた。


ダイドンの為に。


オーハルの気持ちが嬉しかったのだろう、ダイドンの目にはうっすらと涙が浮かんでいたように見えた。

そして深く頭を下げた姿を弱々しくも儚くも、何故か強さも感じられたのだ。

シイラはあの姿を一生忘れないだろう。

そしてダイドンの思いに答えてくれたオーハルもあの時からその気持ちは絶えていない。



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