花咲く原石
「ははは、それは助かります。」

オーハルが荷物を背負ったことが合図になり、二人は担当の荷物を担ぐと歩き始めた。

「行きましょうか。」

「うん。」

昨日と同じ、まだ夜も明けないうちからの出発に二人の気持ちも引き締まる。

昨日と違う点は、ここはもうシイラの知らない土地だということだ。

土地勘も全く無ければ土壌の性質も分からない。

「わっ!?」

出だしから足場が悪かったためか、いきなりシイラから小さな悲鳴が聞こえてくる。

すぐに振り返ったオーハルに何か言われる前にシイラは大丈夫だと明るい声を出した。

「ちょっと滑っただけ。行こう。」

その言葉通りにシイラのペースが上がったのを感じるとオーハルは微笑んだ。

「油断は禁物ですよ?」

「はい、気を付けます。」

まだ空も暗い、少し東の方が白んできただろうか。

目指すのは明るくなってきた方角だ。



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