花咲く原石

06.進む責任

草や枝を踏む足音が重なって響いている。

今日も歩き始めてからかなり時間が経った。


何者でもない、身体にまとわりつく疲労感がそう思わせてくれる。

正直あまり変わらない景色を見ても距離感はよく分からない。

どこを見ても木、草、岩、石。

斜面を登りきった後に後ろを確認すれば高低さ位は分かる、測れるとしたらそれくらいだった。

かといって別に時間がはっきり分かる訳でもない。

時計はあるけど見ないようにした方がいいというオーハルに従って鞄の奥に詰め込んでしまった。

元々あまり時間を気にしない生活だったからそんなに不自由は感じない。

それにずっと森の中を歩き続ける旅には正確な時刻など必要なかった。

深い森の中にいるおかげで景色は常に薄暗く、時折生い茂った葉の隙間から見える太陽が何となく時間を教えてくれるような感じだ。

といっても明るさはあるのでわざわざ見上げなくても昼か夜かの違いは分かる。

そして常に動いている身体の腹時計は使い物にならないのも言わずと知れたことかもしれない。



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