花咲く原石
「急がないと…。」

それでも身体は思うように動かない。

前を行くオーハルに追いつく為、シイラは必死の思いで足を動かし続けた。

ひたすらに前を目指すオーハルはまだ薄暗さに気付いていないだろう。

いや、もしかしたら気付いて先を急いでいるのかもしれない。

今までと違って明らかにオーハルのペースが上がっているのだ。

「速…っ!」

追い付かないと置いていかれる。

シイラは棒になりかけている足に何とか気合いを入れてオーハルを追いかけた。



もう、どれくらい歩き続けたのだろう。




「シイラ?」

不意に後ろからの靴音に違和感を覚えてオーハルは振り返った。

何故急にそう感じたのかは本人も分かっていないが、何となく振り向いたのだ。

すると少し距離がある場所にシイラが見えた。



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