花咲く原石
今まで歩いてきた距離に比べたら造作もない近さ、それでも一度止まってしまったシイラの足は思うように動かない。

「わっ…!」

「大丈夫ですか?」

不安定な足取りに何度か体制を崩している。

やっとの思いで連れていくと木にもたれ掛けるようにシイラを座らせて水筒を手に持たせた。

「水を。」

弱々しい手つきで水を口に含むシイラに不安が過ぎる。

「ありがとう。ごめん、すぐに立つから。」

起き上がろうとするシイラを制するように両肩を押さえてオーハルは首を横に振った。

「長く休憩を取ってませんからね…途中に食べれそうな木の実がありました。採ってきますから、ここで待ってて下さい。」

「オーハル…。」

「少し目を閉じて、休んでいるんですよ?」

シイラの返事を待たずに荷物を下ろしてオーハルは行ってしまった。

諭すような態度はシイラの反論を許さない。

自分とは違い、まだまだしっかりとした足取りですぐに姿が見えなくなってしまった。



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