花咲く原石
バチッと音がするぐらいの勢いでシイラの目は開いた。

最初に映ったもの、それは目の前に立っている、おそらく見知らぬ青年の足下だった。

見たこともない靴に恐怖と嫌悪が襲ってくる。

「おっ？起きたか？」

「…っ！？」

呑気にかけられた声に対して肩を揺らしながら声にならない声を発してシイラは反応した。

ゆっくりと、恐怖心を見抜かれないように顔を上げていく。

距離が近いからか、首が痛くなりそうなくらい上を向かないと顔が見えなかった。

やがて大きな目がその人物の顔を捕らえる。

「…誰？」

自分にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。

初めて見る顔だ。

その風貌から決して町の人ではない事が分かる、むしろ山の住人といった方がいいかもしれない。

自分で解析をしていくうちに段々と緊張が増していく。

それと同時にやはり恐怖も感じ始めていた。

彼から感じるものは一般の雰囲気ではない。



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