花咲く原石
最悪は目の前に居る山賊もどきを倒すしかない。

できるか、でもやるしかないのだ。

自分に出来る範囲での抵抗を考え、頭の中で順番を組み立てる。

砂を握り締め、さあ行くぞと覚悟を決めた時だった。

「…えっ!?」

青年の中の何かに気付き、一瞬にして恐怖心が失われた。

それは青年にも伝わったようだ。

「大丈夫、敵じゃない。俺はエルフだ。…分かるか?」

今までとは一変し、穏やかな表情で青年は微笑んだ。

それは声を聞いても分かる、優しい丁寧な口調。

「…エルフ?」

シイラの反復に青年は頷いた。

「良かった、まだ生き残りがいたんだな。…でも純血じゃあ無さそうだ。」

「人とのハーフだから。」

「ああ、成程。俺も純血じゃない。エルフの血を飲んだんだ。」

青年の言葉に素直に答えてしまった自分にシイラは驚いた。

しかし青年も昔からの馴染みのように、なんでもなく受け取り返してくる。



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