花咲く原石
命果ててもその生きた証は娘である自分が残していく。

でもまだ、彼を思うだけで胸が熱くなるのは涙が枯れていないからだ。

「ドワーフの習性だね。全て源へと姿を変えちゃうなんて。」

こうしなければいけない、ではない。

こうなってしまう、が正解だなと呟く。

「本当にこうなっちゃうんだね。」

声を出すと気持ちが緩んでしまう。

まだ溢れてくる涙を堪えて強く拳を握りしめた。


“泣くもんじゃない”


事切れる前にダイドンが口にした言葉を思い出す。

終わりを悟った彼が不安がる娘に伝えたことの1つ。

離れたくないとダイドンの手を握りしめるシイラをなだめるように優しく言い聞かせてくれた。


“自然に還るだけだ。今までよりもずっと近くにいる”



< 7 / 200 >

この作品をシェア

pagetop