花咲く原石
大丈夫、それは自分でも不思議なくらい強く感じている。

それをオーハルにも伝えたい。

「この辺りは獣もいるみたいだし、このまま歩くのも危険だよ。ね?」

特に休めそうな場所が見当たらないなら尚更だとシイラは含みを持たせた。

「しかし、シイラ…ッ!」

「オーハルも分かってるんでしょ?」

被せるようにシイラがたしなめた。

いま何かに襲われたとして逃げ切れる体力があるとも思えない。

それに何を言っても無駄だと諦めさせるくらいにシイラは堂々としていた。

確かにこの辺りで休める場所がないのはさっきまで出歩いてきたオーハルが一番分かっている。

木の実を取りに行く途中もずっと休める場所を探していたのだ。

しかしどこにも無かった。

結局摘んできた木の実もシイラといるリトの姿を見た瞬間にどこかに放り投げてきてしまったので何の収穫も無い。

ここで甘えるべきなのだろうか。

半ば諦めたような気持ちでリトの様子を盗み見る。



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