花咲く原石
「これ、どうしたの?」

「足を滑らせてしまって、多分木の枝か岩か…何かにぶつけてしまったんでしょう。痛みはありません。」

心配しなくてもいいというオーハルは笑顔を見せて手を振った。

怪我をしていた場所は右肩の辺り。

大丈夫だと言い張りオーハルは右手で荷物を持とうと手を伸ばした。

「怪我は問題有りません。ですからシイラここは…。」

「オーハル。」

シイラの強い眼差しがオーハルを捕らえて離さない。

「大丈夫、信じて。」

あえてゆっくりと、微笑みながらシイラは訴えた。

こうして向かい合ったことは何回もあるが、彼女の心はいつも曇りがなかった。

今回もそうだ、シイラは自分で考えて心を信じてオーハルに向き合っている。

不安も疑惑も残る相手に身を預けることなど出来る筈もないのに、シイラはそれを信じろと言っているのだ。

オーハルは心の中でダイドンに判断を仰いだ。


どうすればいい?




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