花咲く原石
シイラのまっすぐな思いにオーハルの心も揺れる。

爽やかに見える青年でも腹の中では何を考えているか分からない。

会って間もない人間を信用出来る筈がなかった。

それでも、シイラの目がオーハルを諭していく。

この目の強さにとてもじゃないけど敵わないのだ。

残念なことにオーハルの胸の中にいたダイドンも笑っている。

「ドワーフの…直感ですか。分かりました。」

渋々とオーハルから白旗宣言が出された。

「話はまとまったか？」

タイミングを計ったようにリトが現れ２人の様子を伺った。

最初からこうなる事が分かりきっていたような余裕を持つリトの振舞いにオーハルは不機嫌さを表に出すが、シイラはそれに気付かずに笑顔で頷く。

「うん、お世話になります。」

「ははは。ご丁寧にどうも。」

屈託の無い笑顔をみせたリトにシイラも微笑んだ。

にこやかな２人のやりとりは見ていて気分のいいものではない。

不満が更にオーハルの中で敵対心を増幅させていく。



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