花咲く原石
「さて、そうと決まれば善は急げだな。この辺りの住人はお世辞にも穏やかとは言い難い。」

リトのその説明に夜行性の獣を指しているのだとすぐに分かった。

現に昨夜、何度も遠吠えを聞いている。

それにオーハルも強く警戒していた。

彼らの動き出す時間にもう入りかけている。

「俺達に任せていい荷物はあるか?手伝うぞ。」

シイラの傍にある荷物を見ながらリトは問いかけた。

咄嗟に手を伸ばしオーハルは断りの言葉を口にする。

「いえ、全部自分で…。」

「オーハル、怪我してるでしょ?」

しかしそれは未遂に終わった。

シイラの声にオーハルは肩を揺らして反応する。

その様子にリトは容赦なく声を上げて笑った。

「しかしシイラ、この荷物は。」

「大丈夫。リト、お願いします!」

シイラに呼ばれてリトは彼女に近付いていった。

「何を運べばいい?」


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