花咲く原石
リトの後ろには荷物運びを手伝う人物が付いてきている。

「これと、これ、あと…これもお願いします。」

「え？」

シイラの行動に疑問符の声を上げたのはリトだけではなかった。

オーハルでさえも驚いた顔でシイラを見つめている。

シイラがリトに指示したのはダイドンの工具が入った大きな袋、ではなく、それ以外の荷物だったのだ。

「その大きなやつじゃなくていいのか？」

疑問を先に口にしたのはリトだった。

一番大きい、運びにくそうな荷物はお願いされていない。

「うん、これは私が運ぶから。」

当然のようにシイラは笑って答える。

「持てるか？めちゃくちゃ重たそうに見えるけど…。」

見た目からして、ズッシリという言葉を背負っていそうな荷物にリトも心配そうに伺った。

「持つよ、これは私が持たないと意味がないから。」

だから大丈夫。

答えになっているような、そうでないような微妙なニュアンスだが頷くしかなかった。



< 78 / 200 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop