花咲く原石
「そりゃ責任重大だ！分かった、キアヌ！」

リトに呼ばれて近寄ってきたのはさっきリトに指示を仰いでいた女性だった。

近くに来て分かった、その美しい容姿にシイラは思わず圧倒される。

「俺の信用おけるこいつに荷物管理の責任を任せるよ。キアヌ、この荷物をアジトまで運んでくれ。大切なものだ、丁重にな？」

「分かりました。」

そう答えるとキアヌは荷物の１つを手にして肩にかけた。

同じように残りの荷物をリトの後ろに付いていた男性が担ぐ。

「あ、お願いします！」

表情なく頭を下げるキアヌにリースは思わず声を上げた。

思いがけない声がかかった事にキアヌは目を丸くするが、次第に和らいで優しい表情を浮かべて頷き返す。

「お任せ下さい。では、また後ほど。」

そう言うと、キアヌは男性と共に去って行った。

「綺麗な人…。」

思わず出てしまったシイラの本音にリトは唸り声をあげる。

「でもその分怖いぞ？」

ふざけたようにリトが笑うとシイラも誘われて笑ってしまう。



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