花咲く原石
あの綺麗な顔で凄まれたり叱られたりすると迫力がありすぎて怖いらしい。

何気ない内輪話を聞かされシイラはますますリトに気を許してしまった。

「じゃあ、アジトへ案内しよう。ちょっと距離があるが、しっかりついてきてくれ。」

「うん、分かった。」

そう答えると、シイラは工具が入った荷物に手をかける。

やはり重たいそれはすぐには持ち上がらなかった。

「おいおい、大丈夫か?」

情けないことにリトから心配な声がかけられる。

「うん、平気…。」

「貸してください。」

苦笑いをするシイラの横から手が伸びて荷物は軽々と持ち上がった。

その手が誰のものかはすぐ分かる。

「オーハル!」

「左なら大丈夫です、無理して身体を痛めたら後に影響しますよ?シイラ。」

慣れた手つきで左肩に担がれ大きな荷物は落ち着いてしまった。

自分で運ぶと張りきって宣言した手前、どうしょうもない気持ちがシイラの中でぐるぐると渦巻く。



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