【短】彼女の憂鬱



「もういいよ、ありがとう」


春兄はまた優しく笑って、頭を撫でてくれる



……私ばっかり、嬉しい



………悔しい



「春兄はさ、なんか不満ないの?」


「不満?」



いっつも優しくしてくれて、文句一つ言わないで



「私に対して我慢してることとか、ないの?」



あるなら、言ってくれればいいのに


私は春兄の彼女なんだから


改善だってするのに





「我慢ねえ……」




ボソッと呟いた春兄に、思わず下を向く



た、短所とか、直接言われたらけっこう傷つくかも……?


今さらながら気づいた



いやでも春兄のためだし……!





「――本当は美波のこと、触り倒したいとか?」
< 14 / 26 >

この作品をシェア

pagetop