【短】彼女の憂鬱
「もういいよ、ありがとう」
春兄はまた優しく笑って、頭を撫でてくれる
……私ばっかり、嬉しい
………悔しい
「春兄はさ、なんか不満ないの?」
「不満?」
いっつも優しくしてくれて、文句一つ言わないで
「私に対して我慢してることとか、ないの?」
あるなら、言ってくれればいいのに
私は春兄の彼女なんだから
改善だってするのに
「我慢ねえ……」
ボソッと呟いた春兄に、思わず下を向く
た、短所とか、直接言われたらけっこう傷つくかも……?
今さらながら気づいた
いやでも春兄のためだし……!
「――本当は美波のこと、触り倒したいとか?」