【短】彼女の憂鬱
「ほら、勉強再開す……」
春兄がまた机に向かおうとしたところを、
思わず腕を掴んで止める
「美波?」
春兄は不思議そうに私を見る
そんな私は、今絶対真っ赤
「我慢……しなくていいのに」
春兄に、無理なんてさせたくない
私でいいなら、我慢なんかしなくていいのに
恐る恐る春兄を見上げると、
無言のまま、はぁ、とため息をつく
「お前ね……意味わかってんの?」
今度はジロリと、私を睨むように見る
それにビクッとしてしまい、思わず涙ぐんでしまう
「ちょ……美波?」
私の顔を見た春兄が、今度は困った顔をしている
春兄が困ってる……
ただ私は……
「春兄を喜ばせたいだけだよう……」
私は彼女なのに
春兄の妹じゃないのに
対等に出来ないのが、悔しいの