【短】彼女の憂鬱


「なんだよ、それ」



ふっと一瞬鼻で笑って、私の手を離しそっぽを向く春兄



「お前は余計なことしなくていいから」




掴んでた腕から離された手が、なんだか冷たい



私の方を向いていない春兄


いや、無理矢理向いていない




沈黙が流れる






春兄……怒ったの?



何か喋ろうと思っても、言葉が見つからない




私が余計なことしたから?



ていうか私、余計なことしたっけ?



春兄のために、何かしたかっただけなのに




なんで、そんなこと言うの




なんで……いつもみたいに頭撫でてくれないで、



私の方すら見ないのよ……
< 17 / 26 >

この作品をシェア

pagetop