【短】彼女の憂鬱
「なんだよ、それ」
ふっと一瞬鼻で笑って、私の手を離しそっぽを向く春兄
「お前は余計なことしなくていいから」
掴んでた腕から離された手が、なんだか冷たい
私の方を向いていない春兄
いや、無理矢理向いていない
沈黙が流れる
春兄……怒ったの?
何か喋ろうと思っても、言葉が見つからない
私が余計なことしたから?
ていうか私、余計なことしたっけ?
春兄のために、何かしたかっただけなのに
なんで、そんなこと言うの
なんで……いつもみたいに頭撫でてくれないで、
私の方すら見ないのよ……