【短】彼女の憂鬱


「で、どうしたの急に」



私が泣き止んだところで、また春兄が顔を覗き込む



「俺を喜ばせたかったんだっけ?」


「うん……」


「何で?」


「春兄が……優しいから」


「は?」




私のもう一人のお兄ちゃん


私の彼氏の春兄



いつも大人な春兄に、ガキの私は敵わない




「俺そんなに優しい?」


「うん、優しすぎる」


「……それで?」


「それで、私も春兄のために何かしたいなって思って……」



私ばっかり、いっつも助けてもらって



「私だって、春兄のこと喜ばせたいのに……」




言ってから、恥ずかしくなってまた下を向く



なんか……私なに直接春兄に言ってんの!?



なんか……なんか私バカみたい!ガキっぽい!!



急に、顔が熱くなる
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