【短】彼女の憂鬱


「じゃ、遠慮なく」



そう言って春兄の大きな手で頬を包まれる



なに、
そう言おうとしたら急に視界が暗くなって、唇に暖かい感触



……キス!
そう思った瞬間には口の中に生暖かいものが入ってきて



……し、舌!?
それを理解した時にはもうすべてが遅くて




何度も何度も角度を変え


何度も何度も奥深く侵入してくる



二人きりの部屋に、厭らしい音が響く




熱すぎて、頭が真っ白




口から漏れる甘い声に、本当に自分のものかと頭の片隅で疑う




苦しいのに、心地好すぎるほど甘くて……






しばらくしてゆっくり春兄が離れた時には、完全に息が上がっていた



「バ…カ……春兄……」


「許すって言ったじゃん」



春兄を見たら、変わらずのあの微笑み



「そういう…意味……」


「うん」




ていうか、なんだそれ!


つらいって言って、許してねって、キス!?



なんだそれ!




心の中では強がっても、急な出来事にまだ心臓がバクバク


顔だって熱くて


絶対、真っ赤……




「ぶ。美波顔赤すぎ」


「っ、うるさいな!!」



笑い出した春兄を睨むも、恥ずかしさでさらに顔が赤くなるのがわかる




あー……もう!
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