【短】彼女の憂鬱



「はい、じゃあ勉強再開しようね」



ほてった私の顔から春兄が手を離し、すくっと立ち上がる



「え……え!?」


「なに、まだして欲しいの?」


「は!?……いや違くて!」


「なんか日本語変だけど」




え……本当なに!


キス……で、よかったの!?


いや、何がいいのかすらわかんないけど……



「春兄の考えてること……全然わかんない」


「そう?」


「うん」




春兄は、もうすっかり次の勉強の準備に入ってる



「……今ので春兄喜んだ?」



き、キスで……とか!


自分で聞くのが恥ずかしいわ!




「んー……うん」



そして表情を変えず、微妙な返答



え!?自分からしといて!?



ますます春兄がわかんない





「本当はものすごく物足りないけど」


「……え」



春兄がこっちを見たかと思えば、今度は真剣な表情で私の目線を捕らえる



た、足りないって……キスが?



さっきのを思い出しただけで、顔が赤くなる




だってあんなキス……知らなかったんだもん!



あれをもっと……



ダメだ、考えただけで倒れそう……
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