【短】彼女の憂鬱
「あ、俺が喜ぶお願い見つけた」
向かいに座っていた春兄が、閃いた、というそぶりで急に言う
「私に出来る?」
「お前にしか出来ない」
「な、なに!?」
「頭、良くなって」
「………」
……何かと思えば
ただの嫌味かあ!!
キッと春兄を睨むと、春兄は逆に笑って
「俺と同じ大学、入ってよ」
そんなことを言うもんだから、私の目が急に輝く
「春兄と同じ大学?」
「そう」
「学校で会えたりすんの……?」
「そうね」
な……なんて夢にまで見た生活……!
3つ離れてると、確かに同じ学校には小学生の時しかなれたことなかった
しかも知り合ってからは私が3年、春兄が6年の時の1年だけ
それが大学では……
また1年しか同じじゃないけど、全然違う
今同じになれたら意味が全然違う
すごい……すごい!!
「がんばる!!」
「うん、相当頑張ってね」
「相当がんばる!!」
いきなり勉強にやる気出した私を見て、春兄はふっと笑う
「大学生になったら……何してもいいよね」
春兄が呟いた言葉は、集中してた私の耳には届かなかった
「春兄、見てて!絶対一緒の大学入るから!」
「本当、よろしく」
「ちなみにここわかんない」
「………」
優しい春兄
優しい私の彼氏
「だから、こうして――」
「……わかった!出来た!」
「よしよし」
必ずあなたに
喜んでもらって
私がずっと
あなたの彼女でいるからね!
END