【短】彼女の憂鬱


「よし、じゃあ美波(ミナミ)、今日はこの辺で」



時計を見て、春兄が椅子から立ち上がる



「お疲れ様」


また、頭を撫でてくれて



「ちゃんと復習しとけよー」



いつもみたいに軽く触れるだけのキスをしてから、帰る支度を始める



キスだって、してくれないとかそんなピュアカップルじゃない



そ……その先は、まだだけど……



ってそうじゃなくて!



本当に、優しい春兄


不満なんかないんだよ




「春兄、今日もありがと」


「はいよ、お子様はもう寝ろよ」



春兄を玄関まで送って、現在夜の10時



「うるさ!もう部屋戻ったら寝るし!」


「ぶ。早! ま、ガキには遅いくらい?」


「ガキじゃありませんー!」


「はいはい、おやすみ」




パタンと閉まるドアを見て、部屋に戻る






春兄は、優しい


優しい優しいお兄ちゃん




でも私だって、


たまには春兄の力になりたいのになー……
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