お医者さん嫌いなのに・・・
待合に出たらすぐ呼ばれて、治療室に入って、指示されたベッドに横になった。
若い看護師さんが点滴持って来た。
「岩本美奈さん、まちがいないですか?点滴しますので、腕を出してくださいね。」
ここの病院は看護師さんが点滴するときやお医者さんがするときなど色々だ。
看護師さんがさっきから、血管探してるけど、ちょうど良いのが出てないみたいで
右腕、左腕と両方を見られたけれど。。。
「すみません。ちょっと血管出てこなくて・・・。先生、呼んでくるので・・・」
「あっ、僕がみてみましょう。」
「えっ、でも。。。」
「大丈夫、佐藤先生も忙しいからね。」と慶太が言って、さっと私の左腕を見て、若い看護師さんに
「ここからなら出来そうだよ。」って言った。
看護師さんも触ってみて、「本当だ。。。すごい、もう焦っちゃってすみません。」
「いいですよ。美奈は血管細くって難しいから。じゃ、ここでお願いしますね。」
「はい、じゃ、すみません。チクってします」と言われて、チクってきた。
痛いって思いながら目を閉じていたら
「はい、入りました。ありがとうございました。もしかして、お医者さんですか?」
「うん、一応ね。もしかして、新人さん?」
「はい、今年からです。内科外来は今月からです。先月までは眼科にいました。」
「それじゃ、注射の経験はこれからだね。がんばって。」
「はい、ありがとうございました。」と看護師さんはカーテンから出ていった。

慶太に、「美奈が泣き出したらどうしようかと思ったよ。」と言われた。
もう、学生の時みたいには泣かないのに「もう、ちゃんと我慢できます。」
「本当に?」
「うん、点滴くらいなら・・・」
「筋注とかは泣く?」
「うん、あれば痛すぎるよ。なくて良かった。」
「熱下がれば良いな。俺が治療するなら、熱が下がってなければ注射打つよ。」
「えっ、いやだなぁ。」
「はは、まぁ、しょうがない、点滴終わるまで寝てなさい。」
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