お医者さん嫌いなのに・・・
夜になって、面会時間が終わって、お姉ちゃんは帰っていった。
すごく、怠くてしんどいのに、眠れないでいたら、慶太が来た。
「美奈、しんどいね。ちょっと胸の音聞くよ。スーハーってゆっくり息してごらん・・・うん、そうだよ。咳でない?」
「ちょっとだけ時々でる。」
「そっか・・・。眠れそう?」
「ううん。すごくしんどいのに、眠れない・・・。」
「熱が39度超えてるもんな・・・ちょっと熱下げたら、眠れるかな?点滴には、解熱剤は入ってないし、注射1本だけ頑張ってみようか?」
「ううん。イヤだ。注射嫌い。」
「うん。困ったね。美奈がしんどいまま眠れないと病気も良くならないし、でも、イヤなのを無理にするのも、辛いしなぁ。美奈が早くよくならないと優香さんも安心できないよ。今日ね、美奈が倒れたのを聞いて来たとき、優香さん泣いてたよ。美奈に何かあったらどうしようって。修先生から大丈夫だよって、今は眠ってるだけだよって聞いても不安だって、ずっと美奈のベッドのそばにいたんだよ。」
「お姉ちゃん・・・涙・・・慶太?注射する・・・」
「美奈、大丈夫だからな。じゃあ、すぐ用意するな。」ってナースコール押して、注射を持ってくるように言ってた。
看護師さんがカートを押してきた。
「じゃあ、美奈、ちょっとだけ頑張ろうな。うつぶせになれるか?」って、看護師さんと慶太で私をうつぶせにして、パジャマのズボンを下げた。
「ちょっと冷たいよ」ってお尻の上の方を消毒されて、看護師さんに押さえられて、
「チクってするよ。」って声と同時に、チクってきて、ズッシーンと痛みが来た。「うー。いたっ、うーー涙」
「はい、おしまい。よく頑張った。これで、少しは熱がさがるだろうし、眠れるからな・・・」って注射痕を揉んでパジャマを直してくれた。
しばらく、慶太が眠れるまでいるよって言ってくれて、安心して眠れた。
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