お医者さん嫌いなのに・・・
10月になった。クラスの何人かは、AO入試が始まった。
すでに進路を決めた人も出てきた。
推薦入試をうけずに一般入試だけの人も多いから、クラスの雰囲気はまだまだ勉強一筋。
一番の仲良しの真里は、私が志望してる大学の別の学部にAOで決まった。私もがんばって合格できたらまた、一緒に通える。学部が違うけど、キャンパスは同じだから楽しみなんだ。

慶太には、インフルエンザの予防接種に来なさいって言われて、学校帰りに病院に向かった。
受付をして待ってたら、同じクラスの明子がいて、話してたら、明子も、受験があるからって予防接種に来たって言ってた。どっちが先に呼ばれるのかなって思ってたら、ほぼ同時に別の診察室に呼ばれた。
診察室に入ったら慶太に「美奈ちゃん、よく来たね。じゃあ、熱計って診察するよ。」って体温計を挟んで胸の音をきいて、ノドをみた。「よし、大丈夫だね。じゃあ、ちょっと頑張ろうな。」って言って、看護師さんにワクチン用意してって言って、カルテに何か書いてた。
「美奈ちゃん、薬はちゃんと飲んでる?いつもの薬出しとくからね。来月も来てね。(看護師さんが注射を持って来た)よし、じゃあ、腕だしてな。そでめくるよ。怖い?じゃあ、美奈ちゃんは向こうむいててね。見ない方がいいよ。」看護師さんに腕をつかまれて固定されてしまった。
「チクってするよ。」って慶太が言ったらすぐに、チクって痛みがきた。「うッ、いた・・・い」
「はい、終わり。ちょっと休んでかえってね。」ってシール貼られて、診察室を出た。
ちょうど、隣の診察室から明子が出て来た。
私は涙が浮かんだくらいで我慢できたけど、明子は泣いちゃったみたいで、目が赤くなってた。
痛かったねって話して、会計して、私は薬を受け取りにいって、別れて帰った。
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