嘘つきな君からのキス


ガタタッと席から立ち上がり慌てて紙を隠そうとするも


「あっ」


手にとるよりも先に彼の手に渡ってしまった。

何で窓なんて開いてるの!

窓際の人が窓を開けることが多いクラス。私はまだ自分の近くの窓は開けていなく、実質的に開いてるのは前の席付近だけだった筈なのに……。


「――……」


そう言えば、鳴瀬くんが私に挨拶するついでかのように鍵だけ開けていたような……

ハッとして鳴瀬くんに視線を向けると、ペロリと舌を出していて今にも「やっちゃった」と言い出しそうな雰囲気だった。そんな鳴瀬くんは逃げるように立ち去った。

止めることも出来ず、万事休す。

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